萩尾望都は、1949年福岡県大牟田市生まれ。1969年に『
ルルとミミ』でデビューし、1970年代から活躍した漫画家です。1972年から連載した『
ポーの一族』と、1975年の『
11人いる!』で1976年に第21回小学館漫画賞を受賞。同時代に活躍した竹宮惠子、大島弓子、山岸凉子らと共に「花の24年組」と呼ばれ、少女漫画界の黄金時代を築きました。その後も『
残酷な神が支配する』で手塚治虫文化賞優秀賞、『
バルバラ異界』で日本SF大賞を受賞するなど、多くの栄誉を得ています。2012年に紫綬褒章、2019年に文化功労者、2022年にアイズナー賞「コミックの殿堂」を受賞。現在は女子美術大学客員教授、日本芸術院会員として活動しています。
『
トーマの心臓』はドイツのギムナジウムを舞台に、人間の愛と精神的な葛藤を深く掘り下げた作品。『
11人いる!』は宇宙船という密室を舞台にした冒険SF的ミステリーで、疑心暗鬼のなかで信頼関係を築く人間ドラマを描きます。『
残酷な神が支配する』は社会の抱える深刻な問題—性的虐待やトラウマなど—を描いた大人向けのサスペンス。『
バルバラ異界』は近未来の日本を舞台にした科学的仮説に基づくSFで、夢と現実を行き来する構成が特徴です。『
半神』は結合双生児という人体の境界を描いた短編で、舞台化もされています。萩尾望都の作風は、ジャンルの枠を超えたテーマ性の高さが特徴。SF、ファンタジー、ミステリー、サスペンスなど多彩なジャンルで、人間の普遍的な問題や心理を探究し続けています。
初心者なら『
11人いる!』がお勧めです。中篇で読みやすく、SF、ミステリー、友情といった要素がバランス良く詰まっており、アニメ映画化やテレビドラマ化もされているため、映像作品から入るのも良いでしょう。心理描写や人間ドラマを深掘りしたい場合は『
トーマの心臓』から。より難度の高い、社会的問題を扱った大人向け作品は『
残酷な神が支配する』へ。多くの代表作は現在も新装版や文庫版で入手できます。萩尾望都は多くの作品が舞台化・映像化されているため、マンガだけでなく、その他の媒体での表現も楽しめるのが魅力です。長年活躍した作家だけに、初期から最近まで幅広い作品が流通しており、興味や好みに合わせて作品を選べます。