長野県出身の斎藤けんは、2003年に『LaLa DX』掲載の「月光スパイス」でデビューした漫画家です。白泉社の少女漫画誌『
LaLa』『LaLa DX』を主な舞台として活動し、2005年には「花の名前」で第30回白泉社アテナ新人大賞のデビュー優秀者賞を受賞しました。同作が初の単行本となり、以降も白泉社での連載を重ねています。長年にわたって同出版社との信頼関係を築きながら、独特の作風を貫いている作家です。
初の単行本『
花の名前』は、事故で両親を失った少女・蝶子と、心に傷を抱えた作家・京の関係を描いた4巻完結作。文学的な背景を持ち、夏目漱石『
夢十夜』の影響を受けた情緒的な世界観が特徴です。一方『
天堂家物語』は、大正を舞台にした本格的なファンタジー。孤独な少女が川から助けた伯爵令嬢の身代わりとなり、いわくつきの天堂家に嫁ぐという設定で、連載が続く主力作であり200万部を超える人気を獲得しています。斎藤作品全体には、心に傷を持つキャラクターが寄り添い、深い絆を育む物語が多く見られます。繊細な感情描写と、ファンタジー的な設定を組み合わせた叙情的な作風が共通テーマです。
初めて読むなら、完結済みの『
花の名前』がお勧めです。短編的な4巻で斎藤けんの基本的な作風を把握でき、文学的で落ち着いた魅力を存分に味わえます。その後、より大がかりなファンタジー世界を体験したい場合は『
天堂家物語』へ進むのが良いでしょう。同作は現在も連載中で、新刊が定期的に刊行されているため、最新情報を追いながら読むこともできます。いずれも白泉社の『花とゆめCOMICS』シリーズで刊行されており、電子版の利用も可能です。361件を超えるレビュー数が示すように、読者からの支持が厚い作家です。