花見沢Q太郎による『まるせい』は、作者自身のデビュー直後の経験をモチーフにした漫画です。タイトルの「まるせい」は成人向け漫画を指す業界用語で、本作はこのジャンルで駆け出した新人漫画家たちのリアルな姿を描いています。『月刊ヤングキング』で2013年9月に連載開始し、その後『月刊ヤングキングアワーズGH』で2015年4月号まで掲載されました。前作『
少年よ大志を抱け!』の直接的な続編であり、漫画業界の舞台裏や人間関係をテーマとした、業界内部ドキュメンタリー的な作品です。
本作は新潟出身で埼玉在住の23歳の新人エロ漫画家・花比野Q一朗を主人公とし、彼の周囲に集まる個性的な漫画家たちとの交流を追います。ショートカットの女性漫画家・下丸子まるこ、身体関係を持つ複雑な経歴の麻生朋絵、個性的な先輩漫画家たちとの人間ドラマが描かれます。作風の特徴は、成人向け漫画というニッチな業界の内部を、脚色と創作を加えながらもリアルに表現している点です。漫画家としての葛藤、経済的な困難、人間関係の複雑さなど、業界で働く人間たちの素顔が丁寧に描かれた、業界もの漫画としての説得力が強みとなっています。
本作は『
少年よ大志を抱け!』との連続性があるため、可能であれば前作から読み始めることで作品世界への理解が深まります。ただし、本作単独でも主人公の現在地から物語が展開するため、読み始めることは可能です。全9巻で完結しており、完成度の高い形で作品を通読できます。成人向け漫画業界に興味がある読者や、業界ものの漫画を好む人、また脚色を含みつつもリアルな人間ドラマを求める読者に適しています。漫画家志望者にとっても、業界の実情を知る資料的価値がある作品です。