沙村広明は1970年千葉県生まれ、多摩美術大学油絵科出身の漫画家・イラストレーター。1993年『月刊アフタヌーン』での受賞作『
無限の住人』でデビューした異色の作家です。油絵の学歴に裏打ちされた緻密で個性的な画風は、デビュー作から高く評価され、1997年には第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。その後も『
波よ聞いてくれ』など多彩なジャンルの作品を手掛け、一貫して型破りな企画を『
アフタヌーン』をはじめとする講談社の各誌で展開してきました。現在も長期連載作を複数抱えながら創作を続けています。
代表作『
無限の住人』は、不老不死の用心棒を主人公とする江戸時代の時代劇。当時としては奇抜な衣装と独創的な武器が特徴で、歴史時代劇の枠を超えた独自の世界観を構築しました。その後の『
波よ聞いてくれ』は一転、現代の札幌を舞台にラジオパーソナリティの奮闘を描く青年漫画へ。『
ハルシオン・ランチ』は食べることで人生を導く奇想天外なSFコメディ、『
ブラッドハーレーの馬車』は西洋古典風の重厚なダークファンタジーと、作品ごとにジャンルを大きく変えています。共通点は、緻密で表情豊かな人物描写と、一般的な商業漫画の枠にとらわれない奇想と実験性。登場人物の語り口や心理描写に力を注ぐ、知的で野心的な作風です。
沙村作品は『
無限の住人』から読み始めるのがおすすめです。単行本30巻で完結した長編作品で、作家の最高傑作としての地位も確立しており、独自の世界観を一気に体験できます。その後、現代を舞台にした『
波よ聞いてくれ』に進めば、作風の多様性が見えてきます。『
波よ聞いてくれ』はアニメ化やドラマ化も経ており、各種メディアで触れやすくなっています。短編や短期連載『
ハルシオン・ランチ』『
ブラッドハーレーの馬車』は、その個性を凝縮した作品。連載中の『
ベアゲルター』も隔月連載で刊行が続いており、新作から追い始めることも可能です。いずれも講談社版で入手できます。