瀬戸内出身の稲荷家房之介は、イラストレーターとしてボーイズラブ系小説の挿絵を手がけることからキャリアをスタートさせた。2003年に初単行本『
楽園の泉』を発表し、本格的に漫画家としての活動を開始する。九条友淀というペンネームでの執筆も行うなど、複数の表現活動を並行させている多才な作家である。2009年にはBL作品『
百日の薔薇』がOVA化されるなど、作品が映像化される実績も持つ。現在は異なるジャンルの連載を複数抱え、BLから日常エッセイ、異世界ファンタジーまで幅広い題材に取り組んでいる。
『
百日の薔薇 Maiden Rose』は稲荷家の代表作で、複雑な人間関係と歴史的背景を織り交ぜたBL作品として高い支持を得ている。『
b-BOY HONEY』は長期連載となる恋愛ファンタジーで、多くの読者に愛されている。『
ザイオンの小枝』『
玻璃の花』などの作品群からは、感情の揺らぎや関係性の機微を丁寧に描く姿勢が伝わってくる。一方、『
ちたにゃんがきた!』は猫エッセイという全く異なるジャンルへのチャレンジであり、『Code:Leviathan』は竜の血族を主軸とした異世界ファンタジーと、ジャンル横断的な表現活動が特徴。全体的には感情表現が豊かで、人物描写に細やかさがある作風が共通している。
稲荷家房之介の作品世界への入口として、レビュー数が多い『
百日の薔薇 Maiden Rose』『
b-BOY HONEY』から始めるのが無難である。BL作品がメイン活動であるため、このジャンルに抵抗がなければ、あらゆる作品で作家の実力を感じることができる。異世界ファンタジーを希望する場合は『Code:Leviathan』、日常ものの軽さを求めるなら九条友淀名義の『
ちたにゃんがきた!』といった選択も可能。多くの代表作が連載中のため、最新刊も継続的に入手できる環境が整っている。インターネット連載も行われているため、デジタルでのアクセスも容易だ。