有栖川有栖は、小学5年生で推理作家を志してから、一貫してミステリー創作に人生を捧げてきた本格派です。同志社大学在学中から推理小説研究会に属し、同人誌や新聞に創作を発表。卒業後は大手チェーン書店に勤めながら執筆を続け、1989年に『月光ゲーム Yの悲劇'88』で江戸川乱歩賞によるデビューを果たしました。その後、1992年の『双頭の悪魔』がミステリーランキングのベスト10に初選出されたことで評価が確立され、1994年に35歳で専業作家へ転身。現在も大阪に居住し、作家活動と創作塾の運営の両立を続けています。
有栖川有栖の最大の特徴は、二つの平行シリーズを創設したことです。「学生アリス」シリーズでは大学推理小説研究会の部長・江神二郎が、「作家アリス」シリーズでは臨床犯罪学者・火村英生が主役を務めます。両シリーズにはワトソン役として有栖川有栖本人が登場し、パラレルな世界観を形成しています。代表作『
月光ゲーム』『
孤島パズル』『
臨床犯罪学者・火村英生のフィールドノート』シリーズなどを通じて、前期エラリー・クイーンの影響を色濃く受けた本格ミステリの伝統を守ります。学生アリスシリーズの長編にはすべて「読者への挑戦」が挿入される など、古典的な仕掛けへの執着が随所に見られます。
有栖川有栖の作品は現在も各社から新装版やコミック化で続々と刊行されており、入手は容易です。デビュー作『
月光ゲーム』から始めるのが最も順当で、本格ミステリの魅力を実感できます。次に『
孤島パズル』や火村英生シリーズへと進むことで、作家の創作の全体像が見えてくるでしょう。レビュー数の多い作品ほど読者の評価も定着しているため、『
月光ゲーム』『
孤島パズル』『朱色の研究』をまず試すことをお勧めします。古典的な本格ミステリの手法と現代的な設定の融合を求める読者に特に適しています。