大阪府出身の女性漫画家・宇佐美真紀は、1998年に「Great Song」で第42回小学館新人コミック大賞少女・女性部門の佳作を受賞してデビューしました。デビュー作は『デラックス別冊少女コミック』に掲載され、その後『
ベツコミ』の看板誌で長く活躍してきた職人的な作家です。主に女子中・高校生を主人公に据え、片思いから両思いへと至る恋愛の心情変化を丹念に描くことを得意としています。女性読者の共感を呼ぶリアルな感情表現が、作品の魅力となっています。
代表作『
ココロ・ボタン』は、入学式の日に出会った古閑くんに告白した主人公・新奈が、彼のSな性格に翻弄されながらも惹かれていく恋愛を描きます。相手の意地悪さえも好きになってしまう心情の揺らぎが、読者の心を掴みました。『
春行きバス』はバスという空間を舞台に、複数の恋愛エピソードを連作形式で展開させるオムニバス作品です。引っ越しや方言、クラス内での立場など、高校生が抱える現実的な葛藤と向き合いながら、淡い恋心が育まれていく過程を描いています。作風としては、思いつめすぎず、ほのぼのとした雰囲気の中に切実な感情が息づいています。
宇佐美真紀の作品は、入門として『
ココロ・ボタン』から始めるのが最適です。全12巻で完結しており、レビューも最多で、作品の質と完成度を実感できます。より多角的な恋愛を知りたければ『
春行きバス』のオムニバス形式もおすすめです。現在も『
夕暮れライト』『
ヘタレ女神』などが進行中のため、新作との出会いも可能です。ベツコミで連載されてきた作品が多く、単行本化による入手もしやすくなっています。高校生の青春恋愛もの、特に相手の複雑な一面も含めて好きになっていく過程を丁寧に読みたい層に向いた作家です。