高橋千鶴は1975年、講談社の少女漫画誌『
なかよし』で「ルーディの誕生日」によってデビューした漫画家・イラストレーター。大阪府出身。デビュー当初は『
なかよし』を主な活動の場としていましたが、1980年代中盤以降、レディース誌への執筆範囲を広げ、講談社の『mimi』や秋田書店の『COLLET』、その他女性向け雑誌など、複数誌での作品発表を行いました。少女誌時代の作品では、中高生の少女たちが学校のクラブ活動や恋愛、家族との関係といった青春の瞬間を舞台に、困難や逆境に立ち向かっていく姿を描くことが多かったのが特徴です。
『
コクリコ坂から』は、原作の佐山哲郎とのコンビで1980年に『
なかよし』で連載された代表作です。フランス語で「ヒナゲシ」を意味するタイトルは、与謝野晶子の短歌から取られており、横浜をモチーフとした情景描写が魅力となっています。その他の作品『
翼ちゃんのト音記号』『
暗闇の彼方』『
アリスにきっす』『
ママは元総長』など、少女たちの日常や心情、人間関係の揺らぎを丁寧に追った作風が共通しています。高橋の作品全体を通じて見られるのは、限られた時間のなかで起こる青春の輝きと、その中で成長していく登場人物たちへのまなざしです。また、2011年にはスタジオジブリによって『
コクリコ坂から』がアニメ映画化され、その映像化作として現代に新たな命が吹き込まれました。
高橋千鶴の作品は、少女誌の連載作品が中心であり、その多くが単行本化されています。『
コクリコ坂から』は講談社より新装版(2010年)、文庫本(2011年)が刊行されており、現在も購入しやすい状況にあります。アニメ映画版を知ったうえで、漫画オリジナルの表現に触れるのも良いでしょう。初めて高橋作品に触れる読者には、スタジオジブリの映画化で知られた『
コクリコ坂から』から入るのが、作家の雰囲気をつかみやすいと考えられます。その後、『
翼ちゃんのト音記号』など他の作品に進むことで、少女時代の日常を題材にした彼女の多彩な視点が理解できるようになるでしょう。