宮崎克は1956年新潟県上越市生まれの漫画原作者です。その活動を特徴づけるのは、漫画史に関わる取材と執筆への執念的なアプローチ。業界関係者へのインタビューを通じて、漫画制作の実態を記録・再構成する手法を得意とし、単なる娯楽作品の枠を超えた「漫画のドキュメント化」を実現させています。編集者やアシスタント、業界人へのヒアリングを軸に、漫画という表現がどのように生まれるのかという根源的なテーマに向き合い続けている作家です。
代表作『
ブラック・ジャック創作秘話』は、手塚治虫の制作現場の舞台裏を描いた実録漫画です。秋田書店の『
週刊少年チャンピオン』に連載され、単なる伝記ではなく、手塚の様々な作品が生まれた経緯や制作エピソードをインタビューに基づいて漫画化しています。登場するのは当時の担当編集者、アシスタント、家族といった関係者たち。彼らの証言を回想として再構成することで、『
ブラック・ジャック』だけでなく手塚の多くの漫画・アニメの創作過程が立体的に浮かび上がります。宮崎の作風の共通点は、業界人への聞き取りを重視し、表に出ない制作の現実を記録する誠実さにあります。
まずは『
ブラック・ジャック創作秘話』から入るのが最適です。5巻完結という手頃な分量で、手塚治虫という一人の巨人の創作がいかに複数の人間関係と努力に支えられていたかが理解できます。漫画史への興味がなくても、職人的な仕事の現場を描いたドキュメントとして読み応えがあります。その後、同氏が執筆した他の業界関連作品へと進むのが良いでしょう。デジタル化が進む現在でも、秋田書店版を中心に入手可能です。