「ほだされ」とは、相手の魅力や行動に心が揺さぶられ、次第に心を寄せていく様を描くジャンルです。最初は拒否や違和感があっても、相手との関わりのなかで感情が変わっていく過程が物語の核となります。恋愛感情の芽生えや、相手への依存、執着へと段階的に心が移ろっていく心理描写が特徴です。共起ジャンルに「恋愛」「束縛・執着」「あまあま」が多く挙がることから、感情の変化が甘めに、時には濃密に描かれることがわかります。また「年下攻め」「わんこ」といった相手の属性や性質が、主人公をほだすきっかけになることも多いジャンルです。相手に心を支配されていく快感や、抗えない感情の流れを味わいたい読者に支持されています。
このジャンルを代表する作品として、
楢島さちの
『コスメティック・プレイラバー』が挙げられます。美容部員の主人公が後輩に秘密を握られ関係を持つようになりながら、やがて相手の本気の想いに揺さぶられていく展開は、ほだされジャンルの醍醐味を凝縮したものです。テレビドラマ化も果たし、広く支持を集めています。また
にやまの『そんなに言うなら抱いてやる』も高いレビュー数を誇り、主人公が相手に心を蕩かされていく過程が丁寧に描かれています。看板作家の
藤峰式は本ジャンルで最も多くの作品を手がけており、ほだされテーマの多彩なバリエーションを提示してきた作家として知られています。相手に支配されていく快感、心身ともに依存する関係へと深まっていく物語が、彼女の専売特許です。
ほだされジャンルへの入門には、
『ワンルームエンジェル』が適しています。無気力だった主人公が、天使の存在により少しずつ心を開いていく過程が、ほだされの基本形を示しています。共起ジャンルとの組み合わせでは、「恋愛 × ほだされ」で相手への恋心の覚醒を、「束縛・執着 × ほだされ」で濃密な依存関係を、「わんこ × ほだされ」で相手の従順さが主人公の心を揺さぶる快感を味わえます。相手に支配されていく喜びを求める読者は「あまあま」との組み合わせも好むでしょう。まずは高レビュー作品から始めて、各作家の異なるアプローチを比較読みするのがこのジャンルの深い沼への招待となるでしょう。