中村なんは2018年に『
いじめるヤバイ奴』でデビューした漫画家です。映像関係の企業に就職後、漫画家志望から退職。出版社へのネーム送付が返されることの繰り返しを経て、「マガジン」新人漫画賞への入賞を足がかりに、『マガジンポケット』での初連載へ至ります。デビューまでの道のりは険しく、親への告白も新人賞入賞後になるなど、並々ならぬ覚悟で漫画の道を歩んできました。子どもの頃は冨樫義博の影響でバトル漫画を描いていたという経歴も持っています。退職後の生活の中で、いじめに関するニュースに心を揺さぶられたことが、やがて代表作の創作へとつながります。
唯一の代表作『
いじめるヤバイ奴』は、2018年から2023年まで『マガジンポケット』で連載され、累計100万部を突破した作品です。この作品の最大の特徴は、いじめを扱いながらも、従来の「いじめられる側の視点」ではなく「暴力をふるう側も怖い」という独自の切り口にあります。中村は駅ホームでの酔っ払い同士の喧嘩目撃から着想を得て、加害者側が暴力行為によって覆われる心理的恐怖を描くことで、いじめの虚しさと自分に返る報いを表現します。「暴力が得意な者でも、躊躇いなく暴力を振るわせられることへの不安」という深い人間ドラマが、この作品の根底にあります。作画では、怖いシーンを描く際に精神的な工夫を凝らすなど、テーマに真摯に向き合う姿勢が感じられます。
中村なんの作品は現在、『
いじめるヤバイ奴』のみが主要作として確認できます。同作は全19巻で完結しており、講談社から単行本が刊行されています。入門には、社会的に重いテーマながらもサスペンス性の高い物語展開で、一気読みできる構成になっているため、第1巻から読むことをお勧めします。いじめという題材に関心がある方、心理描写の深い作品を求める方、また従来のいじめ漫画とは異なるアプローチに興味のある方に最適です。現在も主要電子書籍サービスで購入・閲覧が可能です。