古賀慶は、警視庁科学捜査研究所の元研究員として実務経験を持つ漫画家です。その背景が最大の特徴で、科学捜査の現場で得た知識と経験を作品に直結させています。一般的なミステリー漫画が推理や謎解きに重きを置くのに対し、古賀は「真実を明らかにしたい」という当時の思いを創作の核としており、証拠品の鑑定や法医学的アプローチを通じて事件の本質に迫る視点を大切にしています。この実務経験により、背景や備品、捜査プロセスといった細部がリアルに描かれる点が、他の法医ミステリー作品との差別化要因となっています。
古賀の代表作は『
トレース 科捜研法医研究員の追想』で、2016年から2023年まで『
月刊コミックゼノン』で連載され、累計120万部を突破した作品です。陰惨な過去を持つ主人公の法医研究員が、殺人事件の証拠品を鑑定する過程で被害者の無念を明らかにしていく構成となっています。本作は2019年にドラマ化されるなど、社会的な関心も集めました。もう一つの代表作『
ブルータル 殺人警察官の告白』は、異なるアプローチから警察と殺人の関係を描いており、古賀の多面的な創作能力を示しています。共通する作風として、単なる犯人追及ではなく「真実とは何か」を問う思索性、科学的証拠に基づく説得力、そして事件の背後にある人間ドラマへの注視が挙げられます。
古賀作品の入門には『
トレース 科捜研法医研究員の追想』が最適です。本作は長く連載され、複数の単行本版が流通しており、入手しやすい状態にあります。法医学やミステリー好きはもちろん、実務知識に基づいたリアルなストーリー展開を求める読者に向いています。ドラマ化された経験もあるため、映像作品との比較読みも可能です。『
ブルータル 殺人警察官の告白』は、古賀のバリエーション豊かな題材選択を知るうえで有益です。科学捜査の専門知識がなくても楽しめるよう構成されているため、難易度を気にせず手に取ることができます。