幹本ヤエは埼玉県川越市出身の漫画家で、2009年に秋田書店の『
ミステリーボニータ』に掲載された『書記くんと会計さん』でデビューしました。以降、同社の少女誌を主な舞台に作品を発表し続けています。デビュー翌年の2010年には代表作『
十十虫は夢を見る』の連載を開始。秋田書店との関係が強く、『
ミステリーボニータ』や『
プチプリンセス』『
シルフ』といった複数誌で創作活動を展開するほか、漫画アプリ『
Palcy』での作品配信も手がけています。少女漫画の枠にとどまらない独自の世界観を築いている作家です。
最も知られた作品は『
十十虫は夢を見る』で、昭和初期(1929年)の東京を舞台にした異色の作品です。旧制高校生で他人の夢に入り『お告げ』をする青年・高月英兒と、怪力の新米ウェイトレス・叶美和子が、喫茶『十十虫』で起こる事件を解決していく物語。ファンタジー要素と時代背景を融合させた世界観が特徴です。他には『
ノーブルチルドレンの残酷』で原作者と組むなど、多彩な企画に参加。幹本の作風は、現実と非現実の境界を揺らがせるような不思議な題材と、登場人物たちの感情の揺らぎを丁寧に描くことで知られています。歴史的背景を活かした叙情性が共通のテーマです。
『
十十虫は夢を見る』は幹本ヤエの代表作にして最初の選択肢です。全10巻で完結しており、昭和情緒と人間関係の繊細さを感じられます。同作は『ボニータ・コミックスα』から刊行されているため、単行本での入手も比較的容易です。短編『打ち水の女』は第4巻に収録されています。より短編で作風を試したい場合は、『
ネコダン。〜猫と男子高校生〜』や各誌掲載の読切作品から入るのも手です。作品によって連載終了のものと連載中のものが混在するため、刊行状況の確認のうえ、興味に合わせて選ぶことをお勧めします。