代表作『羣青』は、2007年から講談社と小学館で連載された異色のロードムービー作品。自分を慕うレズビアンに夫の殺害を依頼した女性と、その依頼を実行した女性が、互いに宛てのない旅に出るというプロット。作中では登場人物の本名が明かされず、物語は匿名性と浮遊感を保ったまま進みます。後にNetflixで『彼女』(英語題 Ride or Die)として映像化されるなど、高く評価されました。その他『ちんまん』シリーズではコメディ短編を集めるなど、作風の幅も見せています。中村珍の作品に共通するのは、社会規範の外にある人物たちの心理と行動を冷徹に描く姿勢と、独特の疎遠感あるキャラクター描写です。