白井弓子は1967年生まれの漫画家で、同人活動を長く続けた後に商業デビューした経歴を持ちます。コミティアを中心とした同人誌即売会で約20年活動し、自分のペースで作品を発表してきました。安彦良和の『
アリオン』や萩尾望都、大島弓子といった作家の影響を受け、伝奇的で想像力豊かな世界観を作り上げています。制作方法はデジタル化を早期に取り入れ、下書き以降のプロセスはPainterやPhotoshopで行うなど、技術面でも先駆的です。2007年には同人作品としては初めて文化庁メディア芸術祭マンガ部門で奨励賞を受賞し、その後も商業出版と同人活動を並行させながら活動を続けています。
最高傑作は『
WOMBS』で、植民惑星を舞台にしたミリタリーSFです。女性の身体が兵器へと転用される設定のもと、戦争に翻弄される女性兵士たちの物語を描いています。2017年に第37回日本SF大賞を受賞し、その後スピンオフ作品も制作されました。同じく代表作『
天顕祭』は古事記のヤマタノオロチ伝説を現代的にアレンジした伝奇ロマンファンタジーで、汚染された未来世界を背景に、歴史と宿命に翻弄される少女を描いています。白井弓子の作風は、古典的な題材や深い歴史背景にSF的な想像力を組み合わせることが特徴です。また『
ラフナス』が文化庁メディア芸術祭で推薦作品に選ばれるなど、実験的で高い完成度を持つ作品を継続的に発表しています。
入門作は『
WOMBS』がおすすめです。SFとしての完結度が高く、第37回日本SF大賞受賞作という確かな評価があります。5巻で完結しており、通読しやすい長さです。その後『
天顕祭』に進むと、白井弓子が同人時代に磨いた表現世界をより深く理解できるでしょう。『
天顕祭』は2008年に単行本化され、現在も入手可能です。『
WOMBS』には前日譚の『
WOMBS クレイドル』というスピンオフも存在するため、世界観をさらに広げたい読者にも対応しています。短篇集『
白井弓子初期短篇集』では、作家の創作の原点や多様な試みを見ることができます。同人時代からの活動が長いため、古い作品でも丁寧に作られた版が流通しており、比較的入手しやすい環境が整っています。