楠本弘樹はマンガ家・コミカライザーとして、主にライトノベルの漫画化を手がけてきた作家です。最も知られるのは、Y.A作の『
八男って、それはないでしょう!』のコミカライズで、2015年4月から『カドコミ』にて連載を開始し、累計389万部(電子版含む)を突破する大ヒットを記録しました。この作品により、異世界転生ファンタジーというジャンルの漫画化において重要な存在となっています。原作小説が「小説家になろう」での連載作品であった点からも、ネット発祥の創作作品をマンガ化する際の適任者として編集部から信頼されていることがうかがえます。同時に、オリジナル作品である『
禍々しき獣の逝く果ては』『
吸血鬼の肖像』といった独自の企画も手がけており、コミカライザーに留まらず表現者としての幅を広げています。
『
八男って、それはないでしょう!』は、異世界転生ものの人気作をマンガ化した最大のヒット作です。原作の魅力を損なわない構成力と、複雑な登場人物や物語の流れを読みやすくまとめるページ構成が評価されています。一方、『
禍々しき獣の逝く果ては』は暗黒ファンタジー的な世界観を描いた作品で、『
吸血鬼の肖像』は歴史的な吸血鬼伝説をテーマにした作品として、より重厚な作風を示しています。さらに『
覇王の月〜明智光秀の生涯〜』は史実の戦国武将を題材にしており、異世界ファンタジーだけでない多様なジャンルへの適応力が見られます。楠本のマンガは、原作の世界観を尊重しつつ視覚的に分かりやすく展開させることに長けており、複数キャラクターが登場する群像劇的なストーリーテリングが共通して見られます。
楠本弘樹の作品を読み始めるなら、まずは『
八男って、それはないでしょう!』がおすすめです。連載中で最新巻まで刊行されており、最も入手しやすく、また最も多くの読者に支持されているため、作家の力量を最も端的に理解できます。異世界転生ファンタジーというジャンルに親しみがあれば、スムーズに作品世界に入ることができるでしょう。その後、『
禍々しき獣の逝く果ては』(完結5巻)で、より重厚な作風を試してみるのが良いでしょう。『
吸血鬼の肖像』『
塔の獣』『
覇王の月〜明智光秀の生涯〜』は現在連載中で、楠本がジャンルの多様性に挑戦している現在進行形の作品群です。全体として、楠本はコミカライズを通じてマンガ化の技法を磨きながら、オリジナル作品でも新境地を開拓している作家として、今後の展開が注目できます。