北海道小樽市出身の川又千秋は、1948年生まれのSF作家・評論家です。慶應義塾大学在学中、伝説的なSFファンの交流会「一の日会」に参加し、SF文化の中で育ちました。博報堂のコピーライターを経て、1971年の評論「バラードはどこへ行くか?」で評論家としてデビュー。翌年には作家としても活動を始めました。1970年代には『S-Fマガジン』で長編評論を連載し、SF業界の重要な論客として活躍。1980年に専業作家となり、当初のニュー・ウェーブ的なSF創作から、やがて架空戦記分野へと創作の軸足を移していきます。SF作家クラブの会長や、創設期の日本冒険作家クラブの発起人として業界の発展にも貢献しました。大学での講師活動や「空想小説ワークショップ」の開講など、後進育成にも力を入れています。
川又千秋の代表作は『
ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』です。1991年から1997年まで『
月刊少年ガンガン』に連載されたこの作品は、ゲーム『
ドラゴンクエスト』シリーズの時系列に新しい物語を組み込む原作・設定として、脚本家・藤原カムイとのタッグで世に送り出しました。ゲーム作品の世界観を尊重しながら、独自のストーリーを展開させる力量が評価され、1996年には映画化、1994年にはコミックCDも発売されるなど、多くのメディア展開を生み出しています。その後『
ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 Returns』で続編も発表しました。また2012年には代表作『幻詩狩り』が英訳出版されるなど、国際的な評価も受けています。既存作品の設定を活かしつつ新たな物語を創造する、ゲーム原作作品への適性が際立つ作家です。
川又千秋を読み始めるなら、何といっても『
ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 完全版』が最適です。15巻で完結した本編は、ドラゴンクエストファンはもちろん、ゲーム原作のマンガ化作品として楽しめます。完全版が刊行されているため、現在も読みやすい環境が整っています。ドラゴンクエストシリーズに親しみがあれば、その歴史的背景とのつながりを感じながら物語に入り込めるでしょう。その後、『Returns』で続きを楽しむことも可能です。評論家としての側面に興味がある読者は、彼が遺した批評文献へのアクセスも検討する価値があります。SF・ファンタジー、特にゲーム原作作品の面白さを求める読者にとって、川又千秋の作品群は充実した読書体験をもたらします。