水樹和佳子は、1957年生まれの漫画家・小説家。東京デザイナー学院でアニメーション科を学んだ後、萩尾望都のアシスタントを経験。1975年に『
りぼん』で『かもめたちへ』をデビュー作として発表し、その後は『ぶ〜け』へと活動舞台を移します。1979年の『
樹魔』と1980年の続編『伝説』で第12回星雲賞コミック部門を受賞し、本格的に脚光を浴びました。1999年にペンネームを水樹和佳から水樹和佳子に改名。その後、漫画家活動を休止し、2013年に埼玉県でフラワーショップを開店。フラワーデザイナーとしての活動に転身しています。また、華道古流松庭派の教授資格を有し、早川書房の文庫本表紙絵なども手がけるなど、多才な創作活動を展開してきました。
代表作『
イティハーサ』は、1987年から1997年にかけて『ぶ〜く』に不定期連載された大作で、サンスクリット語で「歴史」を意味するタイトルの通り、壮大なスケールを持つSF・ファンタジー作品です。4部構成の複雑な物語構造を備え、1999年に完結。その後2000年に早川書房で文庫化され、第31回星雲賞コミック部門を受賞しました。第4回手塚治虫文化賞でも最終選考に選ばれています。他の代表作『
樹魔・伝説』『
褐色の童話』『
海のほとりの王国で…』『
灰色の御花』も、少女漫画の枠を超えた独特の世界観を特徴としています。水樹の作風は、古典や宗教、歴史といった深い題材をファンタジー的に構成し、少女漫画という形式の中で幻想的かつ知的な作品群を生み出してきました。
『
イティハーサ』から入るのが最適です。現在は早川書房の文庫版が入手できます。連載時代は『ぶ〜け』での不定期掲載のため完結まで10年以上かかりましたが、最終巻は描き下ろしで完成。単行本では集英社の豪華版とコミックス版、文庫版と複数の版が存在します。水樹の活動歴を追いたい場合は、1970年代の『
りぼん』掲載作から始め、『
樹魔・伝説』で星雲賞受賞作を体験した後、『
イティハーサ』の壮大な世界に進むという流れもよいでしょう。2018年には、作家が「再生」をテーマに自ら選出したベスト自選傑作集『
浪漫ティック・雪』がKADOKAWAより刊行されており、水樹の代表作群を短編で体験する入口としても有用です。