かわすみひろしは1968年愛知県名古屋市出身の漫画家です。少年時代は美少女画で知られるかがみあきらに影響を受け、漫画家を志しました。大学卒業後アシスタント経験を経て、1994年に『
モーニング』主催のちばてつや賞で『祭りが笑う』により準入選で入賞。翌1995年に『
はまりんこ』で連載デビューを果たしました。以来、『
モーニング』を活動の中心としながら、2009年以降は『漫画サンデー』『
月刊ヤングマガジン』へも活動の軸を広げています。丁寧な絵作りと人間ドラマを得意とし、特に食を題材にした作品で評価を集めています。
かわすみひろしの代表作は『
大使閣下の料理人』です。元料理人・西村ミツルのエッセイを原作に、ベトナムの日本大使公邸で働く料理人・大沢公が、限られた食材の中で「気持ちを届ける料理」を追求する姿を描きます。2002年には文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞し、累計発行部数は190万部を超えるヒット作となりました。その他『
営業の牧田です。』『
鉄子の育て方』など、日常の職業や人間関係をリアルに描く作品が多いのが特徴です。描線は精緻で、食事シーンや日々の風景に深い観察眼が光ります。異文化交流や食卓外交といった、時事的かつ人間的なテーマへの向き合い方が作家らしさを示しています。
入門には『
大使閣下の料理人』がもっとも勧められます。食と外交、異文化理解というテーマが誰にでも分かりやすく、連載25巻で完成度の高いストーリーが完結しているため(単行本全25巻、文庫版全13巻)。同作で作家の丁寧な描写と人間ドラマへの向き合い方を知った上で、『
営業の牧田です。』や『
鉄子の育て方』といった職業漫画に進むのが読む順序として自然です。これらの作品は現在も新装版を含めた版が流通しており、入手は容易です。作家は長年『
モーニング』に携わってきたため、同誌の単行本化作品として各作品が丁寧に製作されている傾向があります。