ichtys(イクシス)は滋賀県出身の女性漫画家です。ペンネームはギリシャ語で「魚」を意味し、本人曰く「魚っぽい名前にしたかった」という遊び心から付けられました。自画像も太陽の塔の顔を白黒で塗り分けたものに手足を生やしたような独特のキャラクターで、複数のバリエーションがあるなど、創作への個性的なアプローチが見られます。2004年にスクウェア・エニックスの『ガンガンパワード』でデビューし、その後『
月刊Gファンタジー』へ移籍するなど、スクウェア・エニックスの媒体で活動を続けています。
代表作『
シューピアリア』は、魔王シーラが勇者エクサに恋するという設定から始まるファンタジー冒険譚です。単なるラブストーリーではなく、勇者と魔王が異なる信念の間で揺らぐ様子、モンスターとの共存と殲滅という相反する理想、そして魔王不在の間に生み出されたコピーが引き起こす危機など、複雑な世界観と人間関係が絡み合っています。シリーズは『
シューピアリア・クロス』へ改題されて継続され、全体で15巻の大作として完結しました。ichtysの作風は、ファンタジーの枠組みの中で恋愛や信念の葛藤を丁寧に描くことにあります。また近年は『
最弱冒険者が【完全ドロップ】で現代最強』といった異世界系作品にも取り組んでおり、冒険譚への一貫した関心が窺えます。
ichtysの世界観を本格的に味わうなら、やはり『
シューピアリア』から入るのがお勧めです。シリーズ完結作であり、レビュー数も最も多く、作家の代表作として確立されています。『
シューピアリア』の9巻と『
シューピアリア・クロス』の6巻で完結した作品なので、腰を据えて読み進めることができます。2004年の連載開始から2011年の完結まで、長期にわたって描かれた世界の変化を追うことも読む楽しみの一つです。ファンタジー冒険譚と恋愛要素のバランスが好きな読者や、複雑な人間関係が絡む物語を求める方に特に向いています。