北海道出身の樋野まつりは、1995年に白泉社のスカウトコースで「キスの本当の意味を教えて」がダイヤモンドルーキー賞を受賞。その後「この夢が覚めたら」でラ・ラ漫画グランプリゴールドデビュー賞を獲得し、『
LaLa』『LaLa DX』を主な活躍の場として少女マンガの第一線で活躍してきた作家です。1999年には「とらわれの身の上」で白泉社アテナ新人大賞デビュー優秀者賞も受賞。複数の受賞経歴から、白泉社系の少女マンガレーベルで一貫して実績を積み重ねてきたことが分かります。ペンネームの「まつり」は、好きな作品『
創竜伝』のヒロイン名から命名されたエピソードを持ちます。
最大の代表作は『
ヴァンパイア騎士』です。全寮制学園を舞台に、普通科と吸血鬼のみの夜間部が共存する設定の中で、主人公が二つの世界に揺れ動く心理を丁寧に描く作品。2008年にアニメ化、2015年に舞台化されるなど大きなメディアミックスを展開し、500万部を超える人気を獲得しました。続編シリーズ『
ヴァンパイア騎士 memories』も『LaLa DX』で連載されています。他の代表作『
めるぷり メルヘン☆プリンス』は、恋に夢見る女子高生が魔法王国の王子と出会うファンタジーロマンス。樋野の作風は、学園や異世界といった設定の中で少女の揺らぎやすい心情を、繊細な線画と心理描写を通じて表現することに特徴があります。
樋野まつりの入門には『
ヴァンパイア騎士』がもっとも適しています。『
LaLa』という少女マンガ誌での長期連載で確立された代表作であり、レビュー数も圧倒的に多く、完結している全19巻が現在も入手可能です。学園ラブストーリーの枠を超えた心理的な深さと、吸血鬼という設定を生かしたダークな雰囲気が樋野の作家性を最もよく表しています。続編『
memories』はアニメ化されたメイン作品の後日譚として読む形が推奨されます。『
めるぷり』は4巻の短編作品で、軽めのファンタジーラブコメを求める読者向け。他作品の『
WANTED』『
とらわれの身の上』も継続作品として刊行されています。