大分県出身の若杉公徳は、1975年生まれの漫画家です。宮崎日大高校から日本文理大学へ進み、大学時代から本格的に漫画制作を志すようになりました。1998年に『週刊ヤングマガジン』の月間漫画賞で奨励賞を受賞してデビュー。その後、著名な漫画家・山本康人のアシスタントを約5年間務めた経験を経て、『ヤングマガジンアッパーズ』で『
アマレスけんちゃん』により連載デビューを果たします。転機となったのは白泉社『
ヤングアニマル』での『
デトロイト・メタル・シティ』の発表でした。デスメタルを題材にしたギャグ漫画は、過激な台詞や80年代コミックのパロディを駆使した独創的なセンスで、特にネット上での評判を呼び、広く認識されるようになりました。
最大の代表作は『
みんな!エスパーだよ!』です。大分県の地方を舞台に、突然超能力を得た男子高校生が、同じく超能力者たちが住む町で遭遇する物語。一見するとコメディ漫画ですが、超能力の危険性を本格的に描いたSF要素も備え、2013年にテレビドラマ化、2015年に映画化されるなど広く受容されました。『
KAPPEI』は「終末の戦士によるラブコメ」をコンセプトに、ノストラダムスの予言を信じ世界滅亡に備えた男たちと日常世界のギャップから生まれるコメディを展開しています。若杉の作風は、一貫してギャグとSFやファンタジー要素を自在に組み合わせ、パロディや過激な表現を交えながら、通俗的なテーマを独創的に解釈し直すことにあります。
入門には『
みんな!エスパーだよ!』が最適です。全8巻で完結しており、ドラマ化・映画化されたメジャー作だけに刊行状況も安定しています。超能力という非日常設定とギャグを両立させた作品性が、若杉の魅力を端的に理解できます。次に『
KAPPEI』へ進むと、ギャグ一色の作風をより堪能できるでしょう。全6巻で読みやすく、白泉社『
ヤングアニマル』の懐かしい文庫版も流通しています。より過激で実験的な作風を求めるなら『
デトロイト・メタル・シティ』への遡及も価値があります。現在も『
明日のエサ キミだから』『
KAPPEI』が連載中で、最新作の動向を追うこともできます。