宮城県仙台市出身の漫画家・阿部川キネコは、『魔動王グランゾート』のパロディショート作品「3月うさぎは恋してる」で商業誌デビューを果たしました。2000年頃まではショタやBL作品を中心に活動していましたが、その後は一般誌での活動を広げ、今日では幅広いジャンルの作品を手がけています。掲載誌や作品のテーマに応じて絵柄や作風を大きく変える職人気質で知られ、同じ作家とは思えないほどの描き分けを実現しています。また2007年放送のアニメ『大江戸ロケット』のキャラクターデザインチームに携わるなど、漫画以外の活動にも進出しています。
『辣韮の皮〜萌えろ!杜の宮高校漫画研究部〜』は代表作の筆頭で、ギャグを中心とした学園コメディ。同じくギャグ作品『ビジュアル探偵明智クン』では、推理もの要素とユーモアを組み合わせています。一方『お菓子な片思い』ではシリアスな恋愛描写を、『
ミス&ミセス』ではほのぼのとした日常描写を、『
WAKIWAKIタダシさん』でも温かみのある物語を展開。『パンクかあさんとロリータむすめ』では切り絵風の独特な画風を採用するなど、作品ごとに徹底した工夫が見られます。共通するのは、内容に合わせた最適な表現を追求する姿勢で、少女漫画風から高野文子を思わせる描線まで、画風の幅広さが特徴です。
『
辣韮の皮』(全7巻・完結)は最も読まれており、ギャグと登場キャラクターの魅力で入門に最適です。現在進行中の『
姫武将政宗伝ぼんたん!!』(5巻・連載中)は、歴史人物を題材にした個性的な作品。シリアスな恋愛ドラマを希望なら『お菓子な片思い』(全2巻・完結)、ほのぼの作品なら『
ミス&ミセス』(連載中)がお勧めです。『
放課後関ヶ原』(全4巻・完結)も歴史とギャグの融合が楽しめます。作家の多彩な画風を楽しむなら、複数作品を読み比べるのも良いでしょう。ドラマCD化された『
辣韮の皮』は、キャラクターの声による新たな魅力も発見できます。