かとりまさるは、元女流棋士・林葉直子が漫画原作者として使用するペンネームです。1968年福岡県生まれ。将棋界での経歴を持ちながら、その後小説家やエッセイストなど多様な執筆活動を展開してきました。棋士としての豊かな知識と経験を活かし、将棋をテーマとした漫画原作を手がけるようになります。林葉自身は大山康晴十五世名人の大ファンで、後年は藤井聡太の活躍に励まされるなど、将棋への深い関心を持ち続けています。闘病生活を経験するなど波乱万丈な人生経験が、作品創作の背景にあります。
代表作『
しおんの王』は、2004年から2008年にかけて『月刊アフタヌーン』に連載され、全8巻で完結した長編です。作画は安藤慈朗が担当しています。幼い頃に両親を失った少女が、謎めいた事件と向き合いながら将棋を通じて成長していく物語で、サスペンス要素と将棋の奥深さが融合した作風が特徴です。単行本では、かとりまさるによる実際の対局棋譜解説ページが設けられており、将棋の知識を持つ原作者だからこそ実現できた濃密な将棋描写が魅力となっています。2007年にはテレビアニメ化もされ、作品の人気の広がりを見せました。
『
しおんの王』は将棋という題材を扱っていますが、将棋の知識がなくても十分に楽しめるよう構成されています。むしろ、謎解きとサスペンス、そして主人公の心の成長を描いた人間ドラマとして読むことができます。全8巻で完結しているため、完結作品を求める読者にも適しています。講談社から刊行された単行本版が標準的な版となります。将棋への興味と人間ドラマ両方を求める読者、また将棋の知識を深めたい読者にもお勧めの作品です。