毛利甚八は長崎県佐世保市出身の劇画原作者・著作家です。日本大学芸術学部で学んだ後、複数の雑誌でライターとして活動し、1986年から劇画『
家栽の人』の原作を手掛けてキャリアをスタートさせました。原作者として画家・魚戸おさむとのコンビで知られています。2001年に大分県へ移り、少年学院での面接委員や雑誌でのルポルタージュなど、社会に根ざした活動も行っていました。創作と現場での経験を結びつける姿勢が、作品に現実感と説得力をもたらしています。
代表作『
家栽の人』は、家庭裁判所の裁判官・桑田義雄が少年審判や家事審判を通じて人間の心情に向き合う長編劇画です。各話は植物をモチーフに人生の課題や葛藤を描く1話完結形式で、舞台や登場人物が異なる複数のエピソードで構成されています。最終章の体罰事件編は数巻にわたる大型事件として物語を集大成させます。『
ケントの方舟』など他作品でも、毛利の作風の特徴である社会の課題と個人の心の動きを丁寧に追う姿勢が貫かれており、法廷劇や人間ドラマの分野で実話的な重みを備えた作品を創出しています。
毛利甚八の入門作には『
家栽の人』が最適です。全15巻の単行本版のほか、全10巻の文庫版も刊行されており、手に取りやすい形式で読めます。1話完結が基本なため、途中から読み始めても楽しめますが、桑田義雄の成長や関わる人物たちとの関係を追うなら序盤からの通読をお勧めします。法廷劇や人間ドラマに興味がある読者、社会的な課題を物語の中で考えたい読者に向いています。小学館『
ビッグコミックオリジナル』での連載作品のため、図書館での貸出も期待できます。