ほしよりこは1974年生まれ、京都出身で関西を拠点に活動する漫画家です。嵯峨美術短期大学を卒業し、美術系の基礎を持ちながら漫画の道へ進みました。2003年にインターネットサービスのサイト上で『
きょうの猫村さん』の連載を開始したことで、ウェブコミックが単行本化されベストセラーになるはしりを作った先駆的な存在です。当時はまだメジャーではなかったウェブ発表という手段で、多くの読者に愛される作品を生み出し、デジタル時代の漫画表現の可能性を示しました。関西の地元に根ざしながら、インターネットを通じて全国・世界へと作品を発信する活動スタイルは、現代の漫画家のあり方を先取りしていたといえます。
ほしよりこの代表作は何といっても『
きょうの猫村さん』です。ネコの主人公・猫村ねこが家政婦として様々な家庭で働く日常を描く作品で、単行本11巻、累計330万部以上の売上を記録しました。2020年にはテレビ東京でドラマ化されるなど、メディア展開も成功しています。スピンオフの『
カーサの猫村さん』では、情報誌『カーサブルータス』の編集部を舞台に猫村さんの活躍を新たな視点から描いており、シリーズの人気の広がりを示しています。他に『
僕とポーク』『
逢沢りく』などの作品も手がけていますが、ほしよりこの作風は温かみのあるユーモアと、動物キャラクターや日常のささやかな出来事を通じた人間ドラマの描き方が特徴です。美術的な背景知識を活かした繊細な絵柄と、やさしい空気感のストーリーテリングが持ち味になっています。
ほしよりこの作品に初めて触れるなら、圧倒的な知名度と安定した面白さを誇る『
きょうの猫村さん』から始めるのがおすすめです。単行本は現在も複数の版で流通しており、入手しやすくなっています。シリーズは11巻と長編ですが、各話が独立した日常エピソードで構成されているため、どこからでも読み始めることができるのが特徴です。キャラクターへの愛着が深まった後は、スピンオフの『
カーサの猫村さん』へ進むと、同じ世界観をより広く楽しめます。ウェブからの出発という独特の経歴を持つ作家として、また電子版での読書にも早くから対応した作品として、デジタル時代の漫画表現に関心がある読者にとっても興味深い存在です。現在も連載中の作品が複数あり、新作の動向も継続して注視する価値があります。