津原泰水は1964年生まれ、広島県出身の小説家です。被爆二世として広島の歴史を背負いながら、1989年に少女小説でデビュー。当初は「津原やすみ」名義で活動していましたが、1996年から現在の名義に変え、幻想小説、ホラー、SF、ミステリなど多岐にわたるジャンルの作品を発表してきました。青山学院大学在学中は推理小説研究会に所属し、大学院では法政大学の客員教授として創作指導も行うなど、文学教育への関心も高い作家です。その創作活動を通じて、ロック音楽への造詣を活かし、音楽をモチーフとした作品を数多く手がけています。
代表作『
五色の舟』は2010年に書き下ろされたSF短編で、2014年には近藤ようこによる漫画化版が文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞しました。その後ヴィジュアル版も刊行され、広く読まれています。他に『ブラバン』は高校時代の吹奏楽部経験をもとにしたベストセラー作品、『バレエ・メカニック』はSFとしての評価を得ています。短編集『11 eleven』は、Twitter文学賞で1位を獲得するなど、複数ジャンルの短編を得意とします。音楽が物語の重要なモチーフとなることが多く、現実と幻想、日常と非日常の境界を揺らがす独特の世界観が特徴です。作風は実験的で、ジャンル横断的な題材を繊細に織りまぜています。
『
五色の舟』は漫画版で津原泰水の作品を最初に味わうのに適しています。原作の短編は短くまとまり、視覚的にも理解しやすい漫画版から入るのがおすすめです。その後、短編集『11 eleven』で複数の作風を体験できます。『ブラバン』は音楽をテーマにした長編として入門作に向いており、ベストセラーのため入手しやすいのも利点です。本作家は多様なジャンルを手がけるため、興味に応じて作品を選ぶのがよいでしょう。河出書房新社などの主要出版社から刊行されており、多くの作品が文庫化されているため、比較的容易に読むことができます。