高梨みつばは1975年生まれ、島根県出身の漫画家。1992年、わずか17歳で『
別冊マーガレット』に『もう恋なんてしない』でデビューし、その後30年以上にわたって集英社の女性向け漫画誌で活躍を続けています。得意とするのは、日常と非日常が交錯する設定のなかで、人物の心情を丁寧に描く物語。年月をかけた連載作品が多く、読者との長い付き合いのなかで作風を深めてきた職人肌の作家です。2023年に乳がんと診断され治療に専念していましたが、現在は連載活動を再開。私生活では白い猫のチロちゃんを飼っており、好物はそうめんです。
代表作『
悪魔で候』は、高梨の妖怪ファンタジー作品を代表する作品として知られています。一方、『
スミカスミレ』は60歳で初めて自分の人生を歩み始めた女性が、屏風から現れた黒猫の妖怪とともに過ごすなか、遅れてきた青春を取り戻していく物語で、テレビドラマ化もされました。現在連載中の『
乙女椿は笑わない』も、現代社会に暮らす女性たちの内面を繊細に掘り下げる作品です。高梨の共通する特徴は、ファンタジー要素を軸に据えながらも、そこに人間関係の複雑さや成長の物語を織り込む点。絵柄は優雅で、人物の表情や仕草で心理描写を深める手法が特徴的です。恋愛や家族との関係、自分らしさの模索といったテーマが繰り返し登場します。
高梨作品は『
スミカスミレ』から始めるのがお勧めです。テレビドラマも放映されたこともあり、各種版で手に入りやすく、高梨の代表作としての地位も確立しています。妖怪ファンタジーに興味があれば『
悪魔で候』へ、現代ドラマとしての高梨を知りたければ『
乙女椿は笑わない』へ進むといった読み進め方が考えられます。多くの作品が集英社の『Cocohana』で連載されており、単行本のほか分冊版での刊行も行われているため、入手性は良好です。長編連載が多いため、時間をかけてゆっくり読む余裕があると、より作品の奥深さを味わえるでしょう。