小手川ゆあは大分県出身、熊本県で育った女性漫画家です。1995年、『
おっとり捜査』の前身となる読み切り作品が第190回ヤングジャンプ新人賞で佳作を受賞し、そのままデビュー連載へ至るという異例の経歴を持ちます。以後、集英社の複数の雑誌で長編作品を発表し続けており、社会派的なテーマと非現実的な設定を組み合わせた作風で知られています。デビューから一貫して人間の暗部や倫理的なテーマに向き合う作品を手がけてきた、思慮深い作家です。
代表作『
死刑囚042』は、死刑制度に代わる新たな罰則制度を背景に、脳内にチップを埋め込まれた死刑囚が社会奉仕に従事するという設定のダークサスペンス。法や制度、人間の本質を問い直す内容です。処女作『
おっとり捜査』は刑事ドラマ的な作風で、10巻に渡って警察の捜査活動を描きました。『
君のナイフ』は、表の職業を持ちながら裏で殺し屋を兼業する人々の葛藤と人間関係を、テレパシー能力といったファンタジー的要素を交えながら描く異色の長編です。小手川作品に共通するのは、現代社会の矛盾や人間の暗い感情を細密に追う筆致と、単なるサスペンスに留まらない倫理的深さです。
最初の入門には、デビュー作でもある『
おっとり捜査』から始めるのが自然です。作家の基本的な筆力と世界観が形作られた作品であり、比較的読みやすいドラマ的な枠組みとなっています。次に『
死刑囚042』へ進むと、より社会的なテーマに深く切り込んだ作風が見えてきます。『
君のナイフ』は著者が「ファンタジック殺し屋ストーリー」と自称する異色作で、3作品の中では最も実験的です。代表作3作はいずれもヤングジャンプ系レーベルから単行本化されており、流通も確保されています。