河惣益巳は愛知県豊橋市出身の女性漫画家です。曽祖父の海産物問屋の屋号「川惣」からペンネームを得ており、本名の名字は非公開としながらも、「益巳」という名前は気に入っているため本名をそのまま使用しています。1981年、アマチュア時代に応募した読み切り作品『
ツーリング・エクスプレス』がアテナ大賞第3席を受賞してデビューしました。これは漫画投稿3本目の作品という早期の成功でした。以来、40年以上にわたって創作を続けており、日本や中国などの東アジア文化に深い造詣を持つ作家として知られています。その文化的背景を活かした作品は、同じく東洋を題材とする作家からも高く評価されています。
『
ツーリング・エクスプレス』はデビュー作にしてシリーズ化され、本編完結後も「特別編」として描き続けられた人気作です。バイクでの冒険を通じたキャラクター描写と、人間関係の機微が特徴となっています。『
火輪』は道教神話をモチーフにした異世界ファンタジーで、東洋的な思想や世観を漫画化した力作です。『
玄椿』『
蜻蛉』といった作品では、歴史的背景や陰謀といった重厚なテーマを扱っています。共通する特徴として、東アジア文化への深い理解に基づく世界観構築、複数の登場人物の心理描写を丁寧に追う叙情的な物語展開、そして年月をかけた長編シリーズでの人間関係の変化を描く手法が挙げられます。絵柄は細緻で情感のある画風です。
まず手に取るなら『
ツーリング・エクスプレス』が最適な入門作です。デビュー作ながら完成度が高く、その後のシリーズ化により長く愛される理由がわかります。本編完結後の「特別編」も追加で楽しめます。東洋的ファンタジーに興味がある場合は『
火輪』へ進むのが良いでしょう。より複雑な陰謀や歴史を背景にした物語を求めるなら『
玄椿』や『
蜻蛉』といった後発作品も選択肢となります。『ツーリング・エクスプレスEuro』は本編の後日談として連載中です。白泉社の『別冊花とゆめ』など、複数誌での連載を経ており、主要出版社の刊行となるため、新本・古本ともに比較的入手しやすい状況が続いています。